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vol.215-SEの経験は別の業務でも十分活かせるもの!

  sada_s.jpg(株)ハッピーコム  
ディレクター 佐田砂絵(さださえ)
http://www.happycom.co.jp

http://happydigital.jp

大学院を修了後、独立系ソフトウェアメーカーでSEとして勤めていまし
た。業務内容は、企業のインフラ構築・保守や基幹業務のソフトウェア
開発、データベースシステムの構築などでした。現在は、ディレクター
として、企画とWeb制作を担当しています。SEの経験に加え、在宅ワークの頃にセミナーの企画・運営などをしていた経験が全て役立っています。

 

▼なぜ、SEを辞めることになったのですか? 

直接のきっかけは、出産です。

以前は、独立系ソフトウェアメーカーでSEとして勤めていましたので、クライアント企業の業務時間外、つまり夜間や休日に作業を行うことが当たり前でしたし、納期前は徹夜することもありました。そのため、出産した後は同じように働くことは無理だと判断したのです。


産休・育休の制度はありましたが、当時(8年前)は、社内には育休を取得して復帰している女性SEがいなかったため、無理だと思い込んでいたということも一因です。


もう一つの大きな理由は、子どもが幼いうち――少なくとも就園までの約4年間は、育児を頑張りたいという気持ちがあったことです。祖母が幼稚園の園長を務めていたため、幼児教育について思うところもありました。

 

 

▼退職後、どんな風に過ごされていましたか?

退職して専業主婦になりましたが、在宅ワークをしていました。

SEという経験上、PCがあれば在宅でもできることは多くあると知っていたからです。
育児がメインの生活を送る一方で、自分はいずれ必ず仕事をするのだという気持ちも消えることなく持っていたため、仕事の感覚を忘れないための方法であり、子育てと仕事の両立を実現する形の模索
でもありました。


happycom_s.jpgといっても、コネも何もない状態でしたので、インターネットで「SOHO」「在宅ワーク」といった単語で検索することから始めました。子どもの就園までは、何事も勉強だと思い、興味のあることには手を挙げて取り組むようにしていました。

そして、
SOHOのコミュニティでスタッフをしたり、セミナーに参加することで少しずつつながりができていきました。考え方も価値観も、働き方も様々な方と出会えたことが大きな糧となりました。


仕事としては、入力やテープ起こし、執筆、セミナー事務局など、いろいろな経験をさせていただきました。どの仕事も嫌いではありませんでしたし、大抵は上手くこなせていたため、このままSOHOとしてやっていこうかと思ったこともありました。

ですが・・・
どうも何か違うような気もして、悩んだ時期も長かったです。

「私が一番強みを発揮できるのは何だろう?」と悶々としていました。

そんな時に、お世話になっていたコミュニティの方から、
「あなたは確かに何でもこなすけれど、このまま進むと器用貧乏になるよ。
 入力やテープ起こしといった業務よりも、もしかしたら、分析とか企画とかの業務が向いているかもね。」と言われたのです。

 

 

▼今のお仕事とは、どんなきっかけで出会いましたか?

 

happydigital_s.jpgきっかけは、スタッフをしていたSOHOコミュニティの主宰の方からの紹介でした。現在勤めている会社が募集していた仕事を請け負うことになったのです。

その仕事は、それまでの入力などの仕事とは違い、私自身の裁量でおこなう部分が多いものでした。

その仕事を無事に終えた後、今度は、スタッフとして加わってほしいというオファーがあったのです。
内容は、データ分析・レポート作成といったものでしたが、そこで、SEとしての経験が生きることになりました。

かなりハードな部分もあり、子どもが寝ている間だけではこなせないものだったため、そのとき初めて、子どもを一時保育に預け、集中して取り組みました。3歳になっていましたし、結果的に、保育体験としてもいいタイミングでした。

その仕事に夢中で取り組んだことで、やはり仕事をしていく上で自分が強みにできるのは、SEとしての経験とスキルであると気付いたのです。その後、子どもの就園にあわせて、業務委託スタッフ、在宅スタッフ、正社員と段階的に「復帰」していくことになりました。

 


▼子育てと仕事の両立で気をつけていることは何ですか?


一つ目は、
仕事の時間と子どもとの時間を意識的に切り替えることです。

子どもと一緒に過ごす時間は、きちんと子どもの目を見て話をし、子どもの遊びに向き合います。仕事をしている時は、それに集中します。残業ができないため、就業時間内の効率を上げなければならないということもありますが、育児以外のことに集中することで精神的なバランスが保てている気もします。


二つ目は、
完璧さを目指しすぎないこと。食事作りも家事も、手を抜けるところは割り切って抜いてしまいます。身体に負担がかかるほど、あれもこれもと欲張ると、結局、子どもにしわよせが行ってしまうからです。

仕事についても、
「いずれ子どもが手を離れて、思う存分できる時がくる」と思うようにして、無茶な予定を組まないようにしています。とはいっても、大抵はギリギリのところでやっていますが...。


最後に・・・

私は、出産をきっかけにソフトウェアの会社を辞めたとき、SEとは全く違う道を探さなければならないと思い込んでいたのですが、そんなことは全然なくて、SEとしての経験とスキルを生かすことを考えれば、良かったんだなと、後になって思いました。

たとえば、ネット上にある様々なサービスの仕組みが分かれば、自社のサービスについても「こんなことも出来るのではないか?」と企画提案につなげられます。
また、物事を進めるときやトラブルが起きたとき、課題を一つひとつ確かめながら切り分けていく思考は、どんな場面でも役に立ちます。


異分野の方と一緒に仕事をすると、自分では「普通」だと思っていた経験やスキルが、どんなに価値のあるものかが分かります。

産休育休ブランクによってキャリアが閉ざされるのではなく、仕事が柔軟に広がる一つの機会なのだと、これから結婚・出産を経験する女性SEの方たちが考えてくれるといいなと思います。


=Emabu より

佐田さん、急なお願いにも関わらず、早々に原稿をいただきましてありがとうございます。

佐田様のお人柄がきっといろいろな方に引きわせて下さっているのだと思います。まさに、子供の成長に合わせてだんだんとスキルアップしていく、はたママ流のママとしてご紹介するにふさわしい方だと思いました。そして、すべての経験は活きるもの。本当にそう思います。

 ママの再就職の成功は、
  ・なんでも挑戦してみる。
  ・徐々に実績を積み上げていく。
   この2つなんですね!